『輸入食品から学ぶ「貿易と港」の旅~天ぷらそばに世界が見える』
ふとしたきっかけで、大変興味深い本を読んだので御紹介したいと思います。
著者は通関業者に勤務する通関士、つまり港に着いた輸入品を、税関を通すこと(「通関を切る」と云うのだそうです)を生業としている方です。そもそも、そのような商売や、この商売に携わる資格者がいるということ自体も全く知らなかったので、このことを知っただけでも、本書を読んだ価値がありました。
中身は特に天ぷらそばを追いかけているわけではなく、冒頭のさわりに出てくるだけですが、全体の構成は輸入品(主に食料品)が港に着いてから小売されるまでのルートを、税関を通す過程を軸にトレースしています。
また、単にプロセスをトレースするだけでなく、輸入品の価格構成などにもページを割いているので、モノを「輸入」するとは具体的にどういうことなのかが、平易に解るようになってます。
私は流通業界等には無縁ですので全く知らなかったのですが、税関を通す手続きはオンライン処理されているそうで(今時当たり前かも知れませんが)、通常の品物であれば、所定のデータを送信してから輸入許可が下りるまでのレスポンスタイムは10秒!でも、埠頭に山積みになっているコンテナを見れば、これくらいで処理できなければならないわけです。
尤も著者は、日本人の時間感覚とコンプライアンスの観点から、貨物の滞留時間をやたらに短くすればよいわけではないことを示唆しています。
ここでコンプライアンスの話が出てきましたが、著者の目配りは、港のコンプライアンス機能、CS(顧客満足度)、港のブランド化といったキーワードにも及んでいます。
私の理解では、この三つは相互に連関していまして、コンプライアンスとCSが、港のブランド化、つまり「○○港を通って来た品物ならオッケイだ」という世間の見方を導出する、ということになりましょうか。
あっ、何か難しそうな本だと思われるのは著者の本意ではないかと思いますので付言しますが、所々に「コーヒーブレーク」のコーナーがあって、楽しくて役に立つミニコラムが載っています。
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